元NHKワシントン支局長、2001年の同時多発テロのとき、NHKのテレビで朴訥とした語り口で、的確な情報を伝えていたのが印象に強く残っている。その後、TVに出ないなあと思っていた所、作家に転身し、何冊かの本(主にインテリジェンスに関するノンフィクション)を著述していた。本屋で彼の本を立ち読みしたが、興味深い内容で、かつ面白そうだったので何冊か読み始めている。
そもそも、インテリジェンスとは? 膨大な情報の中から、意味のある情報を選び、情報の真偽を見定め、精緻な分析を加えたエッセンス、1国のリーダーが誤りなく決断を下す拠り所を云う。
「宰相のインテリジェンス」の感想
インテリジェンスの観点から2011年の同時多発テロから東日本大震災までの10年間、一国のリーダー達が、いかにインテリジェンスを活用し、活用できなかったかを検証したノンフィクション。特に民主党政権の福島原発の対応には手厳しいが、正鵠を射抜いていると共感する。本書の最初のタイトルは「ブラックスワン降臨」、ありえない事態が現実となることの隠喩。同時多発テロ、東日本大震災、福島原発メルトダウンと10年間に起こったブラックスワンである。今の時代、いつブラックスワンが舞い降りても不思議でない世の中に生きていると思うと、背筋が凍る。
本書で興味深い点を列挙すると、
①オサマビンラディン暗殺(ブラックホークは舞い降りた)
パキスタンに潜伏するビンラディンを極秘に(ステルス機能を持った)ブラックホークに乗ったシールズが潜入し暗殺、帰投する。作戦の際、1機のブラックホークが墜落、証拠隠滅のため爆破したが、極秘のステルス機能はパキスタンに奪われる。無許可で領土侵犯されたパキスタンは、ステルス技術を武器に中国に急接近、お互いの仮想敵の対インド戦略で連携を深めている。
ブラックホークと云えば、ソマリオで撃ち落とされたブラックホークダウンを思い浮かべてしまう。
②日米安保条約は、対ロシア、北朝鮮、中国に対する抑止力
日米関係が冷え込むと、北方領土問題のロシア、拉致被害者問題の北朝鮮、尖閣諸島の中国からのごり押し外交が強まる。正に、現実に起きている。
③阪神淡路大震災直後、救援を差し伸べた在日米軍の受け入れを拒否
航空母艦の受け入れに2の足を踏み、救える命を犠牲にした
④福島原発での危機対応を現場の東電に委ねると云う致命的なミス
1民間企業の故に、海水を注入し廃炉にする決断を下せず。官首相が決断を下し、結果の責任も取るべき。福島原発では「想定外の出来事」の繰り返し、こんな答弁だけに終止、危機管理の指導者としての資質に欠ける。福島原発での民主党政権は、「誰1人責任を取らず、その自覚すら欠いたまま政権を去って行った」と手厳しい。
P.S
ビンラディンは暗殺前に既に死んでいたと云うのが真相との事、暗殺はCIAのでっち上げ? こうなってくると何が真実か虚構かわからなくなってくる
面白い本を読んでますね…手島氏はテレビでよく見かけたけど、本は立ち読みくらいかな…また教えてください!!
返信削除世界の情勢が良くわかり勉強になります。、こういった本、大好きです。佐藤優との共著や、小説本も出しています。こちらも興味深く、おいおい読んでいくつもりです。
返信削除