2022年7月6日水曜日

NATOの教訓


ウクライナ戦争で俄然注目を浴びてきた
NATO(北大西洋条約機構)の歴史、背景等を具体例を示しながら詳述された良書である。著者はウクライナ出身の国際政治学者。
ウクライナ戦争も4カ月以上経過、戦線は膠着し泥沼化の様相だ。NATOに加盟している国々は他国(主にロシア)からの侵略から安全が保証される、もしウクライナの加盟申請が通っていたなら、本戦争のような事態は起こらなかったかもしれない。まあ、独裁者プーチンが許すはずがないのだが。
NATOの加盟国は現在32ヵ国、フィンランド、スウェーデンの加盟も承認されたが、問題はトルコが批准するかどうかだ。基本アジア圏に属するトルコ🇹🇷NATOに加盟しているのが不思議だが、地政学的に重要な位置黒海とボスポラス海峡)にあるのが大きな理由かと思う。トルコ最大の脅威はロシア、何としてもNATOに加盟したがったが、欧州は冷やかな態度。変えたのは朝鮮戦争への参加。ここでの戦いがアメリカに認められたのがきっかけとなり、1952年ギリシャと共に加盟国の一員となった。このエピソードが興味深かった。モルドバ、モンテネグロ、ベラルーシ、アデルバイジャン、アルメニア等々馴染みのない国々のエピソードも興味深く、世界の情勢が把握できる。
冷戦時代が終焉したかと思っていたが、専制国家のロシア、中国の脅威が高まり新冷戦の時代に突入した感がある。ロシア、北朝鮮の例のように、専制国家に対する宥和政策はことごとく失敗、力づくで迫ってくる敵に対しては力で持って対抗するしかないのか?不確実な世紀に突入した感がある。
「マクロンする」という言葉が流行っているそうだ。非常に心配している様子を見せ、自分がどれほど心配しているかをみんなに表明するが、何もしないこと。無駄に意味のないことを言う」という意味だそうだ。強権国家への宥和策への皮肉。

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